MVA(手動真空吸引法)

  • MVA(手動真空吸引法)

人工妊娠中絶の方法はどのようなものがあるでしょうか

薬剤によるもの

現在日本では認可のない方法ですので当院では行っておりません。WHO(世界保健機構)の安全な中絶ガイドラインで推奨されている方法の一つです。

手術(MVA:手動式の吸引法)によるもの

現在の日本で最も安全で負担が少ないと考えられる方法です。WHOの安全な中絶ガイドラインで推奨されている方法の一つです。 子宮の中での操作に使用する管は細くてやわらかいものです。

プラスチック製の本体を操作すると陰圧がかかり組織が吸引されます。リスクを考慮し問題のない場合に当院で施行することが可能です。

手術(EVA:電動式の吸引法)によるもの

子宮に金属製の吸引管を入れてチューブにつなぎ電動で妊娠の組織を吸引します。リスクを考慮し問題ない場合に当院で施行することが可能です。

手術(掻爬法)によるもの

まず手術の前(麻酔の前)に子宮の入口を開く処置をすることが多いです(痛みがあります)。次に鉗子(はさみの先が輪になったような金属製の器具)で組織を排出します。

その後、キュレットという金属製の器具を使って組織を掻き出します。WHOの安全な中絶ガイドラインでは、『いまだにこの方法が行われているなら吸引法や薬剤に変更するべき』と記載されています。

子宮内膜へのダメージやガイドラインを考慮し、当院では行っておりませんが強いご希望があれば対応可能です。吸引法、掻爬法どちらも何千もの手術経験がありますのでご安心ください。

中期中絶の方法

子宮頸管を広げ、膣に薬を入れて陣痛を生じさせる、分娩と同様の方法です。妊娠12週~21週6日までの場合に行われます。当院では行っておりません。

MVA法での中絶の詳しい方法は?

まず、点滴の麻酔で眠っていただきます

※リスクのある方は局所麻酔になります。
MVA法は痛みが少なく、また、短時間で終了するというデータがあります。つまり、痛みは取りながらも麻酔のお薬の量を抑えられるケースが多いです。

麻酔が効いていることを確認して、手術を開始します

子宮の向きや長さ、合併症(例:筋腫)などリスクを把握しながら進めていきます。

ダイレーターを頸管に通して子宮頚管を拡張し、適切な広さがあることを確認します

ダイレーターは細長いペンの様な器具で、先がなだらかなカーブになっています。これが子宮の入り口の一番細い部分に通ることを確認し、やさしく拡張します。

プラスチック製の本体を操作して真空部分の吸引力を使って組織を吸引します

組織を吸引するカニューレ(ストローのような器具)を適切な位置に持ちます。カニューレと本体をつなぎ、真空の圧を使用し組織を吸引します。

本体は針のない注射器のような形をしており、この中に組織が吸引されます。一回一回使い捨ての製品ですのでとても清潔で安全です。

子宮内の状態を確認する

吸引が終了したら止血の確認をし、エコーで子宮内の確認を行います。組織が取れて子宮内に血液がほぼたまっていない状態を確認し、手術は終了です。麻酔の影響がとれてくるまで院内でゆっくりお過ごしいただきます。

MVA法の安全性についてもっと知りたい

WHO は2012 年に「安全な中絶に関するガイドライン」を発表しました。これは、人工妊娠中絶手術の掻爬法が安全性に問題があることを指摘するものでした。

その後、日本産婦人科医会が人工妊娠中絶手術の合併症に関する全国調査を行いました。結果は以下のようになります。人工妊娠中絶手術の術式は、吸引+掻爬法が5 割、掻爬法が3 割、吸引法が2 割でした。子宮内遺残、子宮穿孔、輸血を要する大量出血、これらの合併症全てで掻爬法の発生率が吸引法を上回っていました。

子宮内遺残、子宮穿孔の発生率は吸引法より掻爬法で統計上明らかに多く認められました輸血を要する大量出血の頻度は統計的な頻度の差はありませんでした。より安全に人工妊娠中絶を実施するには、吸引法の広まりが必要という結論でした。

表:妊娠12週未満の人工妊娠中絶時の合併症の頻度(総数10万件比)抜粋

子宮内遺残 子宮穿孔 大量出血(要輸血)
吸引法 97.8 4.9 9.8
掻爬法 503.7 36.4 18.2

MVA法のデメリットは?

  1. 頸管を大きく拡張しないため、血液の貯留を認めるケースがあるという報告がありましたが、当院ではそのようなケースは認められませんでした。万が一、血液の貯留があった場合でも子宮収縮を促す内服薬などで十分に対応が可能と思われます。
  2. 妊娠してからの期間が長くなると遺残のリスクが上がるので週数に制限があります。
  3. 使い捨ての器具で清潔・安全なのですが、器具の料金が高価なので料金は上がります

感染リスクが高いと聞いたことがあるのですが?

MVA法では一回一回使い捨ての器具を使用しますので、とても清潔で感染のリスクは低くなります。一般的に、子宮内の操作時間と回数が増えると感染のリスクは増えますが、MVA法は、妊娠6-7週では子宮内の吸引回数は1-2回で十分可能という報告があります。時間にして数分で終了します。

掻爬法では、同じ週数でも子宮内に手術器具を挿入する回数は確実に数倍になります。これに伴い手術時間も差が出ますので、MVA法は短時間で済みリスクが低いと言えます。こういったメリットから、発展途上国など十分に電気が使用できなかったり、滅菌できないような場所でも使用されています。

痛みなどは強いですか?

WHOの報告でも、最も負担が少ない中絶手術は局所麻酔下でのMVA法と記載されています。子宮の下の部分に数か所局所麻酔の注射をし、意識のあるままMVA法を行います。つまり、起きたまま手術を行うことができるくらい痛みが少ないのです。

当院では、リスクが高く静脈麻酔の使用ができない方はこの方法を用いることもあります。眠っている間に手術が終わっている方が心理的な負担が少ないのではという配慮のため、当院では通常は静脈麻酔によるMVA法を採用しております。

手術の時に気を付けることはありますか

基本的に、吸引法、MVA法、掻爬法で術前術後の対応は大きく変わりません。麻酔のさめやすさ、出血、痛みの程度は個人差があるので無理をせず過ごしましょう。

一日にMVA法を受けられる人数制限はありますか

一日当たりの手術件数は決まっていますが、MVA法の人数制限はなく、十分な数の手術器具を備えています。

MVA法と吸引法、どちらにしようか迷いますがいつまでに決めれば良いですか

直前まで迷いのある方もいらっしゃると思います。リスクなどで制限がない場合、手術当日お支払いまでにお伝えいただければ対応可能です。

MVA法と吸引法、どちらを受ける人が多いですか

おひとりおひとりの事情や状況が違うので、ご自分に合った選択をしましょう。料金の差やリスクでの制限もありますので単純な比較は難しいですが、ご自身の大切なことなので、きちんと考えて結論を出されることがよいと考えています。ご質問がありましたらスタッフにお気軽にお問い合わせください。

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