掻爬(ソウハ)法の内容と安全性

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ソウハ法とは?

キュレットという器具で子宮内腔を掻き出す手術方法です。ソウハ法と比較される手術方法として吸引法があげられます。ソウハ法は、厚労省が推奨していない手術方法です。

ソウハ法の痛みについて 

ソウハ法は手術中や手術後の痛みが強く出る可能性があります※表2

ソウハ法の代表的なリスク 

  • 子宮に穴が開いてしまう可能性が高い(子宮穿孔)※表2
  • 術後、子宮内の癒着が生じて不妊症になる可能性が高い(不妊症)※表2
  • 術後、組織の残りが生じやすく再手術になることが多い(遺残)※表2

上記以外にも以下のような報告もあります

  • 掻爬法を受けたことのある女性では、将来の妊娠で早産率が高い
  • 不妊治療の際に妊娠に重要となる子宮内膜が薄かった
  • 3回以上の掻爬法を受けた女性では、子宮腺筋症の率が高い

参考:日本産婦人科医会

当院では、安全に手術を行うため、吸引法のみの術式で、術前の処置は一切行っておりません。また手術中は超音波ガイド下に手術を施行しています。※表1

ソウハ法は非推奨の手術方法です

ソウハ法は厚労省、WHO、FIGOなど世界的に推奨されていない手術方法です。

メッセージ

将来の妊娠のためにもソウハ法ではなく、吸引法での手術をおすすめします。

吸引法には電動式吸引法手動式吸引法(MVA)があります。
MVAの方がより安全ですが、2015年から日本で承認された新しい手術方法であるため多くの手術実績がある医師を選ばれることをお勧めします。経験数の少ない医師が施術をすれば、MVAで行ったとしても合併症が起きる可能性は高くなります。
また、一般的に費用はMVAの方が電動式吸引法より高いため、金銭的に余裕がないという場合は電動式吸引法の選択肢もあるかと思います。ソウハ法で行うよりは明らかに安全です。

価格

MVA > 電動式吸引法 > ソウハ法

安全性

MVA > 電動式吸引法 > ソウハ法

表1

妊娠12週未満の人工妊娠中絶時の合併症の頻度(対総中絶10万件比)

合併症の発生頻度
遺残 子宮穿孔 大量出血
術式
吸引法 97.8 4.9 9.8
吸引法・ソウハ法併用 226.9 12.7 19.1
ソウハ法 503.7 36.4 18.2
術前頸管拡張器使用(=子宮を広げる術前処置)
なし 249.2 9.4 9.4
あり 324.1 25.7 22.3
超音波ガイド
あり 326.1 16.3 18.6
なし 309.0 20.7 15.5

表2

治療法 メリット デメリット 一般的なリスク 当院の強み
MVA
厚生労働省・WHO(世界保健機関)
・FIGO(国際産科婦人科連合)推奨※1,2.3
    子宮内膜損傷のリスクが少ない(合併症が少ない)
  • 器具は使い捨てのため、感染リスクがない
  • 手術時間が短い
  • 出血量が少ない
  • コストがかかる(器具が使い捨てのため)
  • MVA法に対応しているクリニックもしくは医師が少ない
  • 大出血
  • 子宮穿孔
  • 遺残
  • 局所麻酔でも対応可能
  • 術後最短30分で帰宅可
  • 当日・即日手術でも対応可能
EVA
厚生労働省・WHO(世界保健機関)
・FIGO(国際産科婦人科連合)推奨※1,2.3
  • 掻爬法より子宮内膜損傷のリスクが少ない
  • 低コスト(器具は洗浄・滅菌して再利用)
  • 手術時間が短い
  • 出血量が少ない
  • 痛みが少ない
  • 洗浄・滅菌の手間がかかる
  • 大出血
  • 子宮穿孔
  • 遺残
  • 術後最短30分で帰宅可
  • 当日・即日手術でも対応可能
D&C法
掻爬(そうは)法
推奨されていない※4
  • 低コスト(器具は洗浄・滅菌して再利用)
  • 合併症は吸引法の2~3倍
    (遺残による再手術、子宮穿孔、アッシャーマン症候群による不妊)
  • 子宮を広げる処置が必要(前処置)
  • 術中・術後の痛みが強い
  • 手術時間が吸引法より長くなる
  • 洗浄・滅菌の手間がかかる
  • 大出血
  • 子宮穿孔
  • 遺残

中絶の手術方法でお困りの方へ

掻把(ソウハ)法について理解が深まり、心配になられた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。当院では可能な限り安心安全に手術を進めるための情報提供を行っています。

中絶手術はどこで行っても同じではありません。
当院のこだわりや患者様から寄せられるご質問にお答えしていますので、下記のページも御覧ください。